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映画と原作 [雑記]

ここに映画とその原作の本があるとする。
どっちから先にやっつけるか。

私は最近まで、まず原作だろうと思っていた。しかし、両方とも楽しむためには、映画から見るのもありのような気がする。
どう映像化するのかよりも、どう書かれているのかの方がおもしろそうではある。しかも、原作を深く知ればしるほど、映画での解釈と自分の解釈にギャップが生じる。

しかし、映像を先にみてしまうと、想像力が働かなくなってしまう・・一種のサウンドトラック効果・・ことも十分に考えられる。リアルな擬似記憶として脳に残っている映像を原作を読みながら参照してしまうのだ。

これって、もともと映像化を目的とせずに単独での作品として生きていた原作の、間違った読み方ではないかと危惧してしまう。やはり、間違いか。

この疑問を妻になげかけたところ、妻は、原作という存在と映画からノベライズされた小説について比較しはじめた。もちろん、この比較は直接的には先ほどの疑問に答えてはいないが、ノベライズ作品が私にとっていかにつまらなかったかという過去を思い出すと、先に映像をみることへの危惧がますます増大する。

もっとも、ノベライズ作業は、リアルタイム視覚・聴覚の情報を文章に書き落とす作業であるから、リズムやテンポを落とさないようにするためには、かなりのものを犠牲にしなければならないはず。しかも、描写を増やさなければならないから、形容詞や副詞が溢れるほど存在しそうだ。特に映画を見た後ではキャラクタの生き様も、何かむなしいマスターベーションをみているような感じさえうける。よい原作は、無駄を省きまくってリズムやドライブ感を生み出し、読者の想像力に巧みに訴えていく術を宿している。

スティーブン・キングの小説作法を読み進めると、悪文に関する定義めいたものが往々に出没するが、ノベライズ作品にはそれが溢れている。

さて、ここに「薔薇の名前」の原作とDVDがある。そして、作者(ウンベルト・エーコ)の書いた資料集も。

私はどれから手をつけるべきだろうか。


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